データ入力から受発注業務へ

私は大学を卒業してからしばらく、在学中からのアルバイトを続けていました。ですが、他の事もやってみたいと思うようになり、事務の仕事を探すようになりました。私の就職活動時代は非常に就職難の時代で、卒業後1年や2年たっても、その就職難の状態は変わらず、新卒でも就職が厳しい中、既卒でまったく事務経験がないとなると、まったくといっていいほど求人はありませんでした。

そんなとき、目に入ったのが派遣社員としての求人でした。それであれば、職種によっては経験がなくても派遣される可能性があること、またそこである程度、事務経験をつむことができると考え、派遣社員として働くことにし、派遣会社に登録をしました。登録後、すぐにある企業でのデータ入力の仕事を紹介されました。私はタイピングが非常に速かったため、この能力をかわれて、データ入力という仕事を紹介されたのだと思います。

企業側は非常に急いで探している状態で、派遣会社から打診後、その日のうちに面接が行われました。そして、その場で採用が決まり、その日からすぐに就業しました。私はてっきり、面接後、翌日から就業などかと思っていましたが、それだけ派遣先企業が急がれていたようです。仕事内容としては、システムが変わることにともない、それまで3か月間の受発注データを新しいシステムに入力してほしいというものでした。データ入力業務は私が1人でするため、データの入力が終了すれば、自動的に業務も終了となりますということで、契約期間としてもいつ終了するのか不明というような状態でした。

とりあえずその日から就業が始まり、私はただひたすら毎日、データを入力していました。正直、その会社の業務内容などもよくわからないままでした。入力しなければならないデータ量はかなり多かったのですが、特にいつまでにということも求められていませんでした。

半年ほどたったころ、過去データの入力はほぼ終了していたのですが、私が入力をしていた新しいシステムに入れ替えることになった際に、もともと受発注業務をされていた方が、日々の業務がいそがしく、新しいシステムについてはまったくわからないため、過去のデータのみならず、現在の受発注データも並行して新しいシステムに入力するという形で業務をすすめることになりました。さすがに半年も受発注のデータを入力していると、ある程度、その業務について覚えはじめてはいましたが、実際の受発注の業務については、私はまったくノータッチで、データ入力のみをしていました。

1年ほどたったころ、受発注業務をされていた方が仕事を辞めることになり、新しい方に引継ぎを始めたのですが、業務量が多く、引継ぎの途中で辞められてしまう方がいたりと、なかなか引継ぎが思うように進みませんでした。そこで、それまでデータ入力をしていた私に受発注業務をしてほしいとの話がありました。受発注業務としての経験はまったくありませんでしたが、1年ほどデータ入力をしていたこと、また間近で受発注業務をみていたことから、自分でも驚くほど、すんなりと受発注業務をすることができました。正直、データ入力だけでは、経験としては非常に弱いものですが、受発注業務となれば、それは次の仕事に向けて、しっかりとした経験となりえるものです。経験のない業務ながら、自分でも楽しみながら仕事ができていたと思います。

ですが、日々、非常に忙しく、それまではデータ入力のみだったのが、受発注業務を始めてからというもの、毎日21時や22時まで残業もザラとなり、さすがに体力的にこの仕事をずっと続けていくのは厳しいと思うようになりました。そこで2年ほどたったころに、契約更新をしないということを派遣会社に伝えました。派遣先企業からは何度も慰留いただき、ありがたいことに、自分の能力を買っていただいていましたが、契約満了という形で退職させていただきました。その後、別の企業で派遣社員をしていますが、常に、この最初の企業での経験が役に立っています。最初は単なるデータ入力業務から始まりましたが、自分にこれほどの経験と自信をつけてもらい本当にいい経験となりました。